或る世界

三つだけ先に戻る

印のない空にも、目が戻る場所を作れる

砂地で空を見上げると、星が多すぎて、最初はどこを見ればよいのかわからなかった。明るい点を一つ選んでも、その周りには似た光がいくつもある。視線を外すたび、さっきの一つが群れの中へ戻ってしまう。

しばらくすると、ほぼ同じ間隔で並ぶ三つの星が目に留まった。一つずつなら、ほかの星より特別に明るいわけではない。それでも三つをまとめて見ると、空の中に短い一本ができた。

不思議なのは、そのとき星が増えたわけでも、周りが暗くなったわけでもないことである。見えている点の数は同じなのに、三つだけが互いを支え、残りはその並びを見つけるための背景へ退いた。

何かを見つけるとは、そこに新しい印を加えることだと思っていた。色を付け、線で囲み、ほかと区別する。しかし星空には線も囲いもない。離れた点どうしの間隔を覚え、そこへ何度も視線を戻すだけで、見えないまとまりができる。

一度目を伏せ、ラクダの暗い背を見てから、もう一度空を探した。三つの星は同じ場所にあった。今度は周囲の光に紛れず、すぐに見つかった。空が道標を置いたのではない。無数の点の中から戻る場所を、こちらの目が一つだけ作っていた。