或る世界

流れの切れ目

流れを止めた短い間が、一つ分の縁になる

店先の大鍋へ、土の器から白い生地が細く落ちていた。流れが鍋の表面へ触れると丸く広がり、手を少し戻すと一本の筋が切れる。隣へ移してまた注げば、次の丸ができる。

一つのものを複数に分けるときには、先に大きな形を作り、あとから切る方法を思い浮かべる。焼いたものへ刃を入れれば、同じ厚さや大きさにそろえやすい。

しかし、液体の生地には切るべき形がまだない。器の中では全部がつながり、どこまでが一枚分なのか線を引けない。鍋へ落とす時間を短く区切り、流れを止めたところで、初めて一つ分が決まる。

分け目を作るのは刃ではなく、注ぐ手の中断だった。切られた断面は残らない。離れた生地は熱い面の上でそれぞれ広がり、隣へ触れる前に外側から形を持ち始める。

鍋には、少しずつ大きさの違う丸が並んでいた。同じ器から続けて出た生地なのに、どれも注ぐ手が一度止まった記録を持っている。最後にまとめて切り分けるのではなく、始めるたびに一つを作り、終えるたびに次との境を置いていた。