或る世界

城は岩から始まる

地面だった高さが、そのまま壁の役目を続ける

メヘラーンガル城を下から見上げると、石を積んだ壁が岩山の上へ立っていた。壁の下端を目で追っても、途中から同じような褐色の岩へ紛れ、建物がどこで終わり、地面がどこから始まるのかわかりにくい。

建物には、地面の上へ置かれた外形があると思っていた。柱や壁のいちばん下が建物の始まりで、その下は建物を支える別の場所である。境目が見えれば、作ったものと、もともとあったものを分けられる。

ところが城壁は、岩山を平らな台として使っているだけではなかった。切り立った斜面の続きを石の壁が引き受け、岩の高さをさらに上へ伸ばしている。積まれた石が始まる前から、近づきにくさも、見上げる角度も、すでに地形の側で始まっている。

人が作った部分だけを城と呼べば、その下の岩は背景になる。しかし、その岩を別の場所へ移せば、同じ壁は同じ働きをしないだろう。土台は重さを受けるだけでなく、建物の性質の一部を先に担っている。

壁と岩の境へ近づくと、石の並び方だけが少しずつ不規則になった。線を一本引いて、こちらが建築、こちらが地面とは分けにくい。城は岩山の上に載っているのではなく、岩山が終えなかった高さを、そのまま積み続けているように見えた。