朝は峰から降りる

雪を載せた峰には強い光が当たり、その下の斜面は青い影の中に残っていた。境目は山裾ではなく、一つの山の途中を横切っている。
朝は地面から始まり、空全体へ広がるものだと思っていた。けれど山の前に立つと、光は高い場所から順に届く。峰はすでに昼の色を持ち、谷はまだ夜の冷たさを抱えている。同じ時刻の同じ山に、二つの明るさが並んでいた。
太陽は山頂だけを選んでいるわけではない。光はまっすぐ進み、手前の稜線に遮られなかった高さへ先に触れる。低い場所へ届かない時間があるのは、光が弱いからではなく、山自身の起伏が影を作るからである。
高さは、遠くを見るためだけにあるのではないらしい。わずかに上へ出ることで、まだ下には届いていない光を受け取れる。距離なら数百メートルしか離れていない峰と谷が、明るさの上では別の時刻に見える。
しばらくすると、影の縁は斜面を下っていった。山が動いたのではない。光を遮る線と太陽の位置が変わり、同じ岩と雪が順番に見える側へ入ってきた。朝は一度に訪れず、山の高さを測るように降りてきた。