或る世界

濡れる天井

閉じない覆いが、別々の店を一つの通りに束ねる

細い通りの上に、色のついた布が何列も渡されていた。建物から建物へ続く列を見上げると、空の下を歩いているのに、低い天井のある場所へ入ったように感じる。

屋根は、外と内を分けるものだと思っていた。雨を遮り、光を弱め、その下に乾いた場所を作る。ところが、隙間だらけの布は空を隠し切らない。風も光も雨も通しながら、通りの上側にだけ一つの面を作っている。

覆うことと、閉じることは同じではないらしい。頭上に何かが連続しているだけで、壁のない道にも部屋に似た輪郭が生まれる。けれど、その輪郭は天候から人を守らず、入口も出口も決めない。歩く人と車は、屋外のまま、その下を通り抜けていく。

通りには店の庇や看板も突き出していたが、布の列はどの一軒にも属さず、向かい合う建物のあいだを結んでいた。店ごとの入口を越えて、道の幅全体に同じ高さを渡している。

見上げれば色の天井があり、足もとは濡れたままだった。守らない覆いにも、場所を一つにまとめる働きはある。空を閉じずに、通りだけを短い部屋へ変えていた。