或る世界

背中合わせの正面

同じ中心へ向かうほど、身体の方角は離れていく

シュエダゴン・パゴダの境内では、人々が金色の仏塔を囲むように座っていた。こちら側にいる人は奥を向き、反対側にいる人はこちらを向く。横にいる人たちは、それぞれ別の方角へ身体を向けている。

同じものを見る人は、同じ方向を向くのだと思っていた。映画館や教室では、正面が一つに決まり、椅子も平行に並ぶ。隣の人と視線をそろえることが、同じ対象を見る形になる。

しかし、中心を囲む場所では事情が逆になる。同じ仏塔へ近づくほど、人々の視線は放射状に分かれる。向いている方角だけを比べれば、互いに背を向けている人さえいる。それでも視線の先は一つである。

同じ目的を持つことは、同じ姿勢をまねることではないらしい。立つ場所が違えば、一つの中心へ向かうために、身体は違う方角を選ばなければならない。

境内を歩いて反対側へ回ると、仏塔はずっと正面に残った。その代わり、さっきまで同じ向きに見えた人々の背中が、今度はこちらを向く顔に変わっていた。