或る世界

一回ぶんの皿

値段が、選び終える瞬間を丸く囲んでいる

夜市の屋台で、一皿、一回という表示を見た。どれを何品取ってもよいらしい。ただし、皿を持って料理の前を通れるのは一度だけである。

量り売りなら、載せた重さが値段になる。一品ずつなら、選んだ数を足せばよい。しかし一回に値段が付くと、支払うものは料理の量ではなく、皿を満たす一続きの機会になる。

最初に多く取れば、後ろで気になる料理を見つけても置く場所がない。空きを残せば、最後まで選べる代わりに、何も載せず終わる部分も生まれる。皿の縁は食べ物が落ちないためだけでなく、まだ選べる余地の外周にも見えてきた。

味を知るのは席へ戻ってからである。ひと口食べて気に入っても、その場で同じものを足すことはできない。選ぶ時間が先に閉じ、味わう時間はそのあとから始まる。

私は少しずつ種類を増やし、最後に残った空きへ黄色い麺を載せた。皿は重くなったが、値段は変わらない。増えたのは料理で、使い切ったのは一回だった。