木は遺跡を守らない

長く一緒にあるものを見ると、互いに支え合っていると思いたくなる。
アンコールの寺院跡では、石の上から大きな木が伸びていた。根は崩れかけた部分を抱えるように広がり、木陰は熱から石を守っているようにも見える。人の手を離れた建物を、森が代わりに世話してきた、と言いたくなる光景だった。
しかし、木は遺跡を残そうとして根を張ったのではない。土と水のある方へ伸びた結果、石の隙間へ入り込んだだけである。その根が石を支えることもあれば、太くなるにつれて継ぎ目を押し広げることもある。
守ることと壊すことは、人間が遺跡の側に立って付けた名前なのだろう。木にとっては、どちらも同じ成長である。根は石の都合に合わせて止まらず、石も木の形に合わせて積まれたわけではない。
それでも、長い時間を同じ場所で過ごすうちに、二つは簡単に離せない姿になっている。木を取り除けば石が崩れ、残せば根がさらに動かすかもしれない。共にあることは、仲よくあることより、ずっと厄介である。
木陰から離れて振り返ると、木は遺跡を守っているようにも、のみ込んでいるようにも見えた。おそらく、そのどちらでもない。木はただ、石の時間とは別の速さで育っていた。