或る世界

残りものの献立

なくなった部分を、残された形から逆にたどる

食事が運ばれてきたとき、目に入るのは食べるところばかりである。肉の厚さや飯の量を見て、腹に収まるかどうかを考える。骨や殻は、その陰に隠れている。

食べ進めると、その順序が逆になる。肉はなくなり、殻から中身が抜け、種だけが皿の端へ集まる。最初には脇役だったものが、食事の終わりにはいちばんはっきりした形で残っている。

残った骨を見れば、どれほどの肉が付いていたかはわからない。空いた殻からも、中身の味は読み取れない。それでも、そこに何かがあり、こちらへ移ったことだけはわかる。食べたものは姿を消し、食べられなかった部分が、その不在の輪郭を作るのである。

会計を待つあいだ、食べ終えた卓上には、注文したものとよく似た形が一つもなかった。始まる前の料理を献立と呼ぶなら、残ったものもまた、逆向きの献立なのかもしれない。

そこに記されているのは、口へ運ばなかったものばかりである。それでも空白になったところを見ていると、何を残したかより、何がなくなったかの方が、食事の輪郭をよく覚えているように思えた。