空き地の番

神宮では、社殿を二十年ごとに隣の敷地へ建て替えると聞いた。建物が移った側は、次に戻ってくるまで、社殿のない場所になる。
普通、空き地には、まだ使い道が決まっていない印象がある。前の建物がなくなり、次に何が建つのかもわからない。ところが、ここでは次の形も、戻ってくる時も決まっている。何もないのは、役目を失ったからではなく、もう一方へ役目を渡しているからである。
二つの敷地があれば、古い社殿を先に壊してから、同じ場所で新しい社殿を待つ必要がない。片方が役目を果たしているあいだに、もう片方で次を用意できる。空いている場所は休んでいるのではなく、途切れずに受け渡すための余白になっている。
建物を残すには、同じ場所で古い材料を修理し続ける方法もある。しかし、社殿は新しい木で建て直され、敷地まで隣へ移る。それでも別の神社ができたとは考えない。同じであることを、材料や場所に固定せず、建てて移る手順の方へ預けている。
空地の前を離れるとき、そこにはまだ次の屋根も柱もなかった。それでも、何が建つかわからない空白には見えなかった。建物より先に、役目を受け取る順番だけが置かれていた。