焼き目は一枚

餃子は一個、二個と数えられる。皮には一つずつ閉じた縁があり、隣と入れ替えても、それぞれの形は変わらない。
ところが、焼いた面には薄い羽根が広がり、隣り合う餃子の境を越えている。上からなら何個あるか数えられるのに、皿へ触れている側には、一枚の大きな焼き目がある。
一つなのか、いくつなのかは、どこで区切るかだけでなく、どちらの面を見るかでも変わるらしい。中身と皮を見れば一個ずつで、鍋に残した跡を見れば全体で一枚になる。
一個を箸で取ると、餃子そのものはそのまま持ち上がり、羽根だけが隣との間で割れる。もともと別々だったものを分けたはずなのに、薄い一枚を壊した音がする。
皿には、餃子の数だけ空いた場所ができていく。その周りで割れた焼き目は、どの一個のものとも決めにくい。包まれた中身は一つずつ食べられ、鍋に触れていた時間だけが、最後まで細かな破片になって皆の間へ残った。