或る世界

斜めの一本

まっすぐな枠を、斜めの一本が動けなくする

四本の細い棒で四角い枠を作る。角を留めてあるから丈夫そうに見えるが、横から押すと、棒の長さを変えないまま平行四辺形へ傾いてしまう。

そこへ、左下から右上へ斜めの一本を渡す。すると、さっきまで動いた角が急に動かなくなる。縦の棒も横の棒も増えていないのに、四角は四角のままでいることを強いられる。

斜めの棒は、上にも横にも広げてくれない。歩くための床にも、物を載せる棚にもなりにくい。使える場所を増やさず、ただ形が別の形へ変わるのを止めている。

まっすぐに立つためには、まっすぐな線だけを集めればよいと思っていた。しかし、縦と横は、自分たちが直角であることを自分たちだけでは守れない。どちらでもない方向から来た一本が、二つの向きの関係を決めている。

斜材を外すと、枠はまた静かに揺れ始めた。一本が支えていたのは重さではなく、四角が四角であり続けるという約束だった。