或る世界

雨の残る角度

乾く順番が、見えなかった傾きを教えてくれる

雨が上がったあと、植え込みを眺めると、同じように濡れたはずの葉や花が、同じ速さでは乾いていない。

上を向いた浅いくぼみには粒が残り、少し傾いた面では縁へ細い道ができている。急なところでは、もう水の跡さえ見つからない。

晴れているときには、どの面もただ滑らかに見える。そこへ水が乗ると、目では捉えにくかった高低が現れる。水平に近いところは水を置き、傾いたところは流す。雨粒は物差しを当てずに、小さな地形を描いていく。

同じ雨を受けても、残す量が違うのは、片方だけが多く濡れたからではない。受け取ったあとの形が違うからである。出来事の大きさだけでなく、それを置く場所の傾きが、あとに残るものを決めることがある。

風が触れると、一粒が縁まで滑って落ちた。水がなくなったあと、そこに傾きだけが見えるような気がした。