隣の道は遠い

高速道路を走っていると、すぐ隣に別の道が現れることがある。手を伸ばせば届きそうな幅を保ったまま、同じ方角へ進んでいる。それなのに、こちらから向こうへ移ることはできない。
道と道の距離を測るなら、ほんの数メートルで足りる。しかし、車でそこへ行くには、分岐まで進み、いくつかの曲がり角を経て、反対側から戻らなければならないかもしれない。近くに見えることと、近くへ行けることは別である。
地図で宿を探すときにも、目的地との直線距離だけを見て選ぶと、思ったより歩くことがある。線路や川を挟んでいたり、入口が反対側にあったりするからだ。建物の輪郭までは近くても、扉へ続く道は遠い。
隣の道はしばらく同じ高さを走り、やがて別の方角へ曲がっていった。最後まで近くにあったのに、こちらの道とは一度も交わらなかった。