或る世界

禁止の終点

境目のない場所で、命令だけが先に終わる

禁止の標識は、どこまでも同じ強さで続くように見える。赤い印を見た瞬間、その先の道全体が閉じられたように感じるからだ。

ところが、「この先五十メートル」と添えられた禁止には終点がある。歩幅で数えれば、いつか命令の外へ出る。道の舗装も建物の並びも変わらないのに、同じ行為が、そこから先では禁止ではなくなる。

始まりには標識が立っていても、終わりに同じ大きさの合図があるとは限らない。何歩目で五十メートルを越えたのか、自分ではよくわからない。境目は見えないまま、命令だけが効力を失う。

規則は、場所を壁で二つに分けるのではない。途切れ目のない道の上へ、見えない範囲を重ねている。振り返っても何も変わっていなかったが、もう標識のこちら側ではなかった。