二度目の白紙

すべての駒を箱へ戻せば、盤は何も置かれていない状態になる。最初からやり直せる、と言ってよい。しかし、そこへ向かう人の方まで、最初の状態へ戻るわけではない。
一度目には広く見えた場所が、二度目には先の詰まり方まで見える。気軽に置いた一手が、あとで細い隙間を作ることも知っている。盤面には何の跡もないのに、手だけが前の手順を覚えている。
やり直すことを、起きたことを消す意味で使うことがある。紙を替え、画面を閉じ、新しい予定表を開く。目の前は白くなるが、次に何を避けるか、どこで迷うかは、白紙になる前の時間から持ち越される。
だから、二度目の白紙は一度目より狭く、同時に少し深い。知らなかったために選べた道は減るが、見落としていた小さな道が見えることもある。
最初の駒を置くまで、少し長く考えた。盤は先ほどと同じ広さなのに、置こうとしている一角には、まだ見えない終盤まで重なっていた。