もう着られない

一度脱いだ殻へ、もう一度戻ることはできない。ほんの少し前まで身体にぴったり合っていたのに、外へ出た途端、それは小さすぎる古着になる。
他人が作った服なら、寸法が合わないこともある。しかし殻は、自分の身体の形で作られている。脚の節も、頭の丸みも、そこにいた自分を正確に残している。それほどよく似ているのに、元へ戻るための入口はない。
ぴったり合っていたことと、いまも合うことは別である。古い殻は寸法を間違えたのではない。以前の身体を正確に写しているために、変わった身体を入れる余地がない。
空になった殻は、前の自分が間違いだった証拠ではない。その形でなければ、そこまで来られなかった。ただ、役目を終えた形は、正しかったからこそ置いていくしかない。
しばらくすれば、新しい身体は殻から離れる。残された方は、いまも中身があるような格好で葉につかまっている。戻れない形ほど、以前の自分によく似ている。