喉が決める休憩

喉が渇いていることは、何かをしている最中には気づきにくい。話を続け、道を歩き、もう少し先まで済ませようとしているうちに、渇きは小さな違和感として後ろへ追いやられる。
ところが、水を一口飲むと、それまで平気だったはずの喉が、次の一口を要求し始める。身体は我慢していたことを、水が来てから思い出すらしい。そこで初めて足を止め、思っていたより長く水を飲む。
以前、仕事の手を止めるため、机に一皿を置いたことがある。あれは、休む理由を自分で用意する方法だった。だが、喉の渇きは、理由を用意するより先に身体から届いている。ただ、こちらが受け取るのを後回しにしている。
喉が決める休憩には予定表がない。足りるまで続き、足りたところで、何の合図もなく終わる。
水辺を離れてから、歩く速さは元に戻った。先ほどまで急いでいた理由も戻ってきた。それでも、身体の都合で立ち止まった短い時間だけは、遅れではなく、最初から必要だった時間のように思えた。