輪の先頭

輪になって踊る人たちを見ていると、誰が先頭なのかわからなくなる。列なら一番前の人を見ればよいが、輪には始まりも終わりもない。
それでも踊りは進んでいく。一人ずつ見れば、隣の人より半歩遅れたり、手の向きを間違えたりしている。しかし、輪全体では同じ動きがゆっくり巡っているように見える。
おそらく、全員が完璧に振りを覚えているわけではない。少し前を行く人を見て動き、後ろの人から見られる。教える人と教わる人が固定されないまま、一つの動きが輪を回っていく。
先頭がいなければ進めないと思うことがある。だが、誰も先頭にならないから続くものもあるのかもしれない。曲が変わると、揃いかけていた手がまた少し乱れた。それでも輪は途切れず、同じ場所をゆっくり回り続けていた。