いない人数

大勢が集まる場所の前を、誰も集まっていない時に通ると、通路が不自然なほど広く見える。一人で歩くには余りすぎる幅が、建物の周りに残されている。
催しの最中なら、その幅も人で埋まり、複数の入口が同時に使われるのだろう。人の流れを分ける柵や、繰り返し置かれた案内も、誰もいなければ少し大げさに見える。
しかし、その大げささをたどれば、そこにいない人の数がわかる。広い通路には横一列に歩く人々が、閉じた入口の一つ一つには順番を待つ列が隠れている。群衆は消えても、群衆に合わせて決められた寸法は残る。
私は入口へ向かわず、そのまま外側を歩いた。すれ違った人はほとんどいない。それでも、広すぎる道を一人で歩いていると、目に見えない大勢の端を、反対向きに進んでいるような気がした。