灯りの外側

夜景の前では、明るいところから順に目を動かしてしまう。しばらくして視線を外したとき、何もないと思っていた暗がりにも、街と同じだけの広さがあることに気づいた。
夜景を見るとき、私は灯りの数を見てしまう。どれほど高い建物か、どれほど華やかな色か。だが、空まで明るければ塔の先は見えず、水まで光っていれば反射は消える。灯りだけを集めても、夜景にはならないらしい。
目立つものは、それだけで目立っているわけではない。何もないように見える場所が、そのまわりに残されているから輪郭を持つ。暗がりは欠けた場所ではなく、灯りを灯りとして見せる場所でもある。
しばらく眺めていると、街よりも手前の水が気になり始めた。黒一色に見えた水面にも、細かな波の濃淡がある。もう一度街へ目を戻したとき、暗い部分を、何も写っていない場所とは思えなくなっていた。