一灯の複数形

同じ灯りの下にいても、立つ場所を変えれば、明るく見えるものは入れ替わる。一つの出来事が、そのまま同じ姿で全員へ届くわけではないのだろう。
シャンデリアは、光を足しているのではない。もとの灯りを受けて、砕き、返しているだけである。それなのに、眺める側には、一つだったものが数え切れないほど増えたように見える。
一つの出来事も、それを受け取る人の数だけ姿を変えるのかもしれない。嬉しい知らせが、別の人には不安の始まりになることがある。自分では小さく決めたつもりのことが、近くにいる誰かには大きな変化として届くこともある。
自分で決めた大きな予定は、私の中では一本の線になっている。しかし、結婚したばかりの暮らしの中では、私一人のものではない。私が予定表に線を一つ引けば、隣にいる人の予定表にも、そこから別の予定が生まれる。
立つ場所を変えるたび、明るく見えるものと暗く見えるものが入れ替わった。灯りは一つのまま、その姿だけが増え続けていた。