或る世界

最後のひと切れ

楽しみは、最後まで残すほど少し重くなる

食事の終わりが近づくと、どれを最後に食べるかが気になり始める。初めは同じように並んでいたものも、数が減れば、そのどれかが必ず最後のひと切れになる。

好物は先に食べるか、最後まで残すかという話がある。私は、その日の気分によって答えが変わる。先に食べれば、あとは安心していられる。残しておけば、食事の終わりに小さな楽しみが待っている。

ところが、最後まで残したものは、残しているあいだに少しずつ重くなる。楽しみだったはずの一切れに、食事をきれいに終わらせる役目まで負わせてしまうからだ。

フォークの先にある果物は、まだ最後ではない。私はそれを口に運び、次に残ったものを見た。最後のひと切れは、いつも食べる直前になって初めて決まる。