緑のボタン

読めない言葉の並ぶ画面でも、夕食を頼むことはできるらしい。拾える漢字と数字をつなぎ、値引きの理由はわからないまま、最後に目立つ緑のボタンまでたどり着いた。
言葉がわからない土地で、食事をどうするのか。知らない土地へ長く出かけることを考えると、そんな心配をすることがある。しかし、この画面を見ていると、人が暮らすための手順は、言葉より先に似ていくのかもしれない。食べたいものを選び、値段を確かめ、住所を指定し、最後に目立つボタンを押す。
もちろん、数字が読めることと、仕組みを理解していることは違う。なぜこれほど安くなったのか、どんな条件が付いているのかはわからない。便利さとは、わからない部分を残したまま先へ進めることでもあるのだろう。
以前見た花は、すべてが開き揃う前から、すでに一つの花の姿をしていた。私も、すべての文字が読める日を待たなくてよいのかもしれない。下にある緑のボタンを押せば、たぶん夕食は近づいてくる。